まぶたを持ち上げる筋肉にトラブルが生じ、普通に目を開いたときまぶたが黒目に被さった状態になる眼瞼下垂。この眼瞼下垂と同じような状態を示す症状を偽眼瞼下垂と呼んでいますが、皆さんはご存知ですか?見た目だけでは眼瞼下垂と見分けが難しいので、混同されることが多いです。
今回の記事では、以下について解説します。
- 偽眼瞼下垂とは
- 偽眼瞼下垂の具体的な症状
- 偽眼瞼下垂かどうかチェックする方法
- 偽眼瞼下垂になる原因
- 偽眼瞼下垂の治療法
眼瞼下垂について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
「眼瞼下垂とは?原因とよく間違われる症状から治療法までを詳しく解説」
1、偽眼瞼下垂(ぎがんけんかすい)とは?
偽眼瞼下垂は、まぶたを持ち上げる眼瞼挙筋に異常が見られない状態であるのに、たるんだまぶたの皮膚によって視界が狭くなったり、眼瞼下垂のような容姿になる症状のことです。
偽眼瞼下垂には、以下のようなものがあります。
- 眼瞼皮膚弛緩症:上まぶたの皮膚が、老化によってたるんだ状態。
- 眉毛下垂:主に加齢によって、眉毛が下がった状態。顔面神経マヒなどに伴って起こる場合もあります。
- 眼瞼けいれん:まぶたを閉じる筋肉(眼輪筋)が過剰に緊張して、目が開きにくくなった状態。
- 眼球陥凹:眼球が異常に陥没している状態。
- 小眼球症:先天的に眼球が小さい状態。
- 睡眠薬・睡眠導入薬や抗不安薬の服用、または酒酔い
つまり、偽眼瞼下垂と眼瞼下垂の違いは、眼瞼挙筋に問題があるかどうかです。偽眼瞼下垂はまぶたを持ち上げる眼瞼挙筋に問題はなく、眼瞼下垂は眼瞼挙筋が正常に働かない状態です。
また、偽眼瞼下垂でも、眼瞼けいれん、眼球陥凹、小眼球症をのぞく病気は、手術で治すことができます。
2、偽眼瞼下垂の具体的な症状
偽眼瞼下垂の症状は眼瞼下垂とほぼ同様で、具体的には以下のような症状が挙げられます。
- まぶたがたるんでいる
- まぶたが重い
- 視力の低下
- 肩こり
- 頭痛
- 額にしわがある
偽眼瞼下垂は、まぶたを開ける筋肉に問題はないためまぶたを開けようと思えば開くのですが、皮膚の被さりで視界が遮られるため、無意識に眉毛を上げたり、目を細めるといった状態になります。
視野が狭くなると、目を開くためにおでこの筋肉である「前頭筋」を使うようになります。この動きを繰り返すことで、おでこにシワが寄り、頭痛や肩こりにつながるとされています。
見た目だけでなく、視界への影響や頭痛・肩こりのように症状が日常生活に支障をきたしている場合、早めに治療を検討しましょう。
3、偽眼瞼下垂かどうかチェックする方法
偽眼瞼下垂は眼瞼下垂と非常によく似ているため、自己判断は難しいです。自分では偽眼瞼下垂だと思っていたとしても、正確な診断を受けると眼瞼下垂だったということがあるかもしれません。自己判断はせずにまずは専門医のいるクリニックで相談し、検査等を行った上で正確な診断を受けましょう。
眼瞼下垂かどうかのチェック方法について、詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
「眼瞼下垂のチェック方法とは?セルフチェックや治療方法について解説」
4、偽眼瞼下垂になる原因
ここでは、以下の偽眼瞼下垂になる主な原因を3つ紹介します。
- 加齢
- ストレスによる脳神経の異常
- 服用している薬の影響
(1)加齢
年齢とともにまぶたの皮膚がたるんでしまうことでまぶたが垂れ下がっている状態です。視野が狭くなる場合もあります。
肌のハリや弾力は、コラーゲンやエラスチンなどの成分があることで保たれています。しかし、加齢によりコラーゲンの量や質が低下し、肌を支えきれなくなることでたるんでしまうのです。
(2)ストレスによる脳神経の異常
ストレスによる脳神経の異常などで、眼輪筋が過剰に緊張して眼瞼けいれんが見られることがあります。軽度の場合は、まぶたがぴくぴくするものの目は開きますが、緊張が強いとまぶたが固く閉じてしまいます。
(3)服用している薬の影響
眠剤やうつ病の薬などを服用している人も、まぶたが重そうな目もとになる場合があります。このような状態においても、臨床的に眼瞼下垂としっかり見分けること(鑑別)が重要です。
5、偽眼瞼下垂の治療法
ここでは、偽眼瞼下垂に対する治療法を紹介します。治療を検討している方はそれぞれのメリットやデメリットも含めて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
- 二重埋没法
- 二重切開法
- 眉下切開
(1)二重埋没法
医療用の糸を使用して二重まぶたを作る美容整形手術の一つで、まぶたの皮膚にごく小さな穴を開け、まぶたの裏側から眼瞼挙筋と皮膚側を結びつけて二重を形成します。
手術は15分程度の短時間で終わるため、時間的にも身体的にも負担が少なく受けられます。
まぶたのたるみが少ない方の場合、この治療法が一番手っ取り早いかもしれません。真崎医院では、院長独自の技法”たるみたくし上げ”を併用して埋没手術を行うことが出来るので、軽度のたるみであれば切らずに改善することが可能です。
(2)二重切開法
二重切開法はまぶたの皮膚を切開して二重を形成する手術です。切開をする分、埋没法と比較するとダウンタイムが長くなりますが、その代わりに効果は半永久的です。
当院の二重切開法には部分切開法と全切開法の2つの種類があります。
部分切開法はまぶたの一部を切開し、傷跡を残さずに自然な仕上がりを求める方に適しています。全切開法はまぶた全体を切開するため、まぶたが厚く腫れぼったい方に向いている治療法です。
ただし、切開するため修正が難しい点も考慮して選ぶ必要があります。
(3)眉下切開
眉下切開は、眉毛の下のラインに沿って切開し皮膚を取り除く治療法です。眉毛のすぐ下を切るため、術後の傷痕や腫れが目立ちにくい傾向にあります。
まぶたのたるみが改善されることで目元が若々しく見え、たるみによって隠れていた二重が戻る効果も期待できます。
6、偽眼瞼下垂の治療は保険適用にならない
偽眼瞼下垂の治療は保険適用されません。眼瞼下垂で保険が適用されるのは以下に当てはまる場合です。
- 重度の眼瞼下垂
- 先天性眼瞼下垂
- 加齢性眼瞼下垂
- 視野狭窄の症状を伴う
偽眼瞼下垂の治療は全額自己負担になるため、カウンセリング時にあらかじめ費用面も確認をしておきましょう。
7、偽眼瞼下垂に関するよくある質問
ここでは、偽眼瞼下垂に関するよくある質問にお答えします。ぜひ参考にしてください。
(1)偽眼瞼下垂は自然に治りますか?
偽眼瞼下垂は通常、自然に治ることは非常に難しいです。偽眼瞼下垂の主な原因はまぶたの皮膚のたるみや眼球陥凸により引き起こされるものであり、これらの変化は加齢や他の身体的な要因によって進行することが一般的です。
埋没法や二重切開、眉毛下切開などの治療を通して改善が期待されます。偽眼瞼下垂の症状が気になる場合は、専門の医師と相談して適切な治療法を検討しましょう。
(2)偽眼瞼下垂はマッサージで治せますか?
偽眼瞼下垂はマッサージで治すことは難しく、根本的な改善を目指す場合は手術を検討しましょう。
眼瞼下垂のトレーニングについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
「眼瞼下垂のトレーニングは?注意点や眼瞼下垂を緩和させる方法を解説」
8、まとめ
偽眼瞼下垂は、まぶたを持ち上げる眼瞼挙筋の力はあっても、皮膚のたるみでまぶたが重くなり、目が開きづらい状態のことです。症状は眼瞼下垂とほぼ同様で、まぶたのたるみ、まぶたが重い、視力低下、肩こり、頭痛などが挙げられます。
また、治療法は埋没法や二重切開などがありますが、保険適用ではありません。事前に費用面の確認もしておくと安心です。
偽眼瞼下垂の診断や治療は専門の眼科や専門の形成外科で行いましょう。